万人の感情を刺激するコピー
万人の感情を刺激するコピーはないのだろうか?
残念だがないだろう。
なぜなら、その人の持っている「予告編」(前回参照)は皆異なるからだ。
だが、万人には無理でも「多数」に受ける物は不可能ではないと思う。
最近英語で迷惑メールが来る。
実際に来たメールを見てみよう。
迷惑メールから万人受けするフレーズを考える
件名:Re: Salary [$900 /week]
どうだろう?
見たくなっただろうか?
ならないだろう。なぜなら、英語がわからないからだ。
ということは、日本人に向けてメッセージを送るには、日本語で書く必要があるというのは、当たり前だが、大事なことだ。
日本人に向けて日本語で書いたからって、日本人が振り向くかはわからないが、日本人が振り向く要素はあると言えるだろう。少なくとも間違っていない。
多数が振り向くであろうフレーズはこれだ
次に上げるフレーズは、かなりの多数が気になるのではないかと思う。
「いとこ同士で結婚!10代で子供もできた!当然夫婦顔つきそっくりでカワイイ奥さん」
Youtubeで出て来たタイトルだ。
Yotubeのトップページでたまたま目にしたタイトルだが、
「えっ?いとこ同士って結婚していいの?」
と好奇心が刺激された。
興味を引かれた理由
どうして興味を引かれたのか分析してみよう。
- いとこで結婚するのは珍しい
- いとこで結婚することが可能なのか?知らない(から知りたい)
- いとこで結婚してうまくやっていけるのか?知りたい
- いとこで結婚して、子供とかって大丈夫なの?知りたい
こんな感じだ。
だが、このフレーズが心に響いた理由で忘れてはいけないことがある。
「いとこ同士で結婚」
これについて、意味が分かるということだ。
いとこが何のことか知っている。結婚が何のことか知っている。
両方とも知っていること同士だが珍しいことが起きている。
もし、私が、いとこって何? もしくは結婚ってどんな感じなの?
という状態だったら仮にめずらしいことが理解できてもそそられないだろう。
それは前回の「ある感情の一場面をイメージさせること」ができていないということだと思う。いとこもイメージできるし、結婚もイメージできる。これってミスマッチじゃん???
となったから反応したのだと思う。
「感情」から書く脚本術 [ カール・イグレシアス ]
では、これを
P.45
「アイデアは独創的で目新しく、しかも見覚えがあること」
と表現している。
まとめ
ここまでをまとめよう。
多数の人が反応する可能性が高いフレーズは
- 相手がイメージできる範疇の言葉を使う
(例)いとこ、結婚 → 理解できない人はそうはいないだろう。
- 珍しいことを言う。
(例)いとこ同士で結婚 → 良くあること…ではない。
- 知りたそうなことも言う。
(例)10代で子供もできた! → いとこ同士の子供って大丈夫なの?好奇心を刺激。
モチロン、既にいとこ同士の結婚例を沢山知っている人には「珍しいこと」ではなくなっているので、効かない。
事実、いとこ同士で結婚している有名人とか結構いるんだな と調べてクタクタは知ってしまった。
このフレーズに近いフレーズを見ても、疑問もなくなっているし、好奇心を刺激されたりはしない。
冷静に考えると、アクセスを集める(集客に成功している)検索エンジンのTOPページなんかは、ニュースを提供している。
つまり、「知らないこと」を沢山用意しているのだ。
「オリンピックに野球が競技として認められました!」
は、確実に知らないことだ。
そして、「いつも起きている」普通のことではなく、珍しいことになるだろう。
ニュースサイトは本当に珍しいことを提供しているから、普通に表現してもそこそこ興味を引かれるが、我々が集客に必要なのは、ライバル会社や競合ひしめく仕事なのだ。
事実としては、「珍しいこと、新しいこと」とは言いづらい。
だから、結論としては、そのように聞こえる様にうまく言うのが、集客としての「感情にささるコピー」となろう。
まずは興味をもってもらわなければ行けない。
どんなに素晴らしい説明文・セールストークができるとしても、可能な限り1フレーズ目で「聞いてみたいな」と思わせる必要がある。
感情(聞いてみたい・知りたい・なんだろう?等)を刺激するには
- 相手がイメージできる範囲の言葉で語る
- 珍しいこと(=知らないこと)であるように言う
- 好奇心をそそる一言を加える
のが原則ではなかろうか?
ダメっぽい例
先日大宮駅前で街頭で配っていたので、何かと思って受け取った。
吉本の広告
思うに、この広告を受け取って見に行こう!と思う人は、漫才やコントが好きで好きでしょうがない人だけだろう。
チラシの目的
このチラシは、イベントの当日に配られていた。
推測するに、お客さんの入りが少ないからとにかく誰でも言いから来てくれということで、若干のディスカウントもOKで配っていたのだと思う。
だとすると、目的は「そこ迄好きではないかも知れないけど、時間を持て余している人に安いから来て欲しい!」となるのであれば、少しフレーズを考えるべきだったのではなかろうか。
「漫才・漫談・コントの70分!」
「大宮RAKUUN6階 ラクーンよしもと寄席」
非常に内容が理解しやすい。
そう言う意味では良いフレーズだ。
だが、このフレーズの問題点は感情が刺激されない点にある。
漫才…うん知ってるよ。おもしろいよね。
漫談…うん知ってるよ。漫才みたいなもんだよね。
コント…うん知ってるよ。漫才みたいなもんだよね。
終了〜!!!!
要するに、完全に知ってることで終わってしまっている。
内容が理解できすぎている。
もちろん、この漫才は見たことないネタをやるのだろう。
だが、「漫才」という言葉の意味と、どういうことをやるのかは、理解してしまっている。それで終了してしまっている。
やることを一言で表してはいけない
私が思うに
やることを一言であらわした物をそのまま言っては何も感じない!
と思われる。
どういうことか。
もし、
A:「価格1000円の小説」と
B:「価格1000円の墜落しそうな飛行機から乗客を救助し英雄と呼ばれた男が警察に逮捕される迄の物語」だったらどっちの方が読みたいだろうか?
小説とは要するに物語のことだと思う。
文章で説明している物だ。
AもBも実は同じ内容の小説本を説明しているのを違う表現にしているだけだとしたら、やはり、一言であらわしては行けないということだろう。
上述の例なら
A:「近親婚」
B:「いとこ同士の結婚」
ここでは「近親」と「いとこ同士」というのは、同じ意味をあらわしているのだが、近親婚では、おそらく
(1)イメージがわきずらい(普段使う表現ではないから)
近親 より いとこ の方がイメージしやすいでしょ?ということ。
(2)意味が完結している(一言で言っちゃった)
近親婚…ああ、たしかにそういう日本語あるよね。身内で結婚することでしょ?だから何?(言葉の定義だったり、意味だったりを表している様に感じる。)
いとこ同士の結婚…ええ!?いとこ同士で結婚しちゃったの?(実際の動作をイメージさせる)
ので、やはり、一言で「漫才・漫談・コントの70分!」と言ってしまうと興味が湧かないのではないか?
あくまで例だが
「すべらないトークや予想だにしないツッコミの止まらない70分!」の方が、幾分、興味が薄い人でも興味を持つ(必ず行くとか言うのじゃなくて、何をやっているのか中身を見てみようと言う気になるという意味)のではなかろうか?
だから、この漫才のチラシは、漫才会場に来てくれた人に、「次回の予定はこうなってますよ」という意味で配るには効果が高いと思われるが、街を歩く人に配るには効果が薄いと考える。
なぜなら、漫才会場に来てくれた人への告知なら、皆「キャッチフレーズ」に関わらず、中身をある程度見るだろうからだ。
中身がきちんとしてるなら、読んでもらえる前提があるので、フレーズはむしろ、一言で中身をあらわしていた方が何の資料なのかわかりやすくて良いのかも知れない。
まとめ
感情にささる「興味を持ってもらうための」フレーズの原則は
- 相手がイメージできる範囲の言葉で語る
- 珍しいこと(=知らないこと)であるように言う
- 好奇心をそそる一言を加える
ではなかろうか?